不動産鑑定士の業務は少なからず不動産価格が関わるもの全てと考えると実に多岐に渡りますが、それらの中でも主な業務として「不動産鑑定評価」と「不動産価格査定」というものがあります。
評価と査定・・・これら両者の違いは何でしょうか。
まず不動産鑑定評価ですが、これには不動産鑑定評価基準というものを利用します。
公的に定められた基準に基づいて不動産を鑑定評価するため、不動産の所有者など個人の事情は組み込まれず、あくまでも客観的な価格が明示されます。
つまり、評価して出た不動産の価格は、覆しようのない事実だということですね。
対し、不動産価格査定には査定基準というものがありません。
あるとすれば上記の鑑定評価による価格で、これをさらに省略しつつ個人の都合も含めた価格が導き出されるのです。
(個人の都合とは不動産売却の理由などですので、悪しからず)
不動産価格査定は専門家による適切な査定ではありますが、その方法から鑑定評価に比べると精度は低くなることが判るでしょう。
鑑定評価による結果は、裁判など公的な場において開示しなくてはならない場合に必要になります。
価格査定による結果が利用されるのは、個人的な売買判断や社内資料にする場合です。
前者はこの価格になるに至った基準や経緯などを説明する必要がありますが、後者には価格説明の必要は特にありません。
以上の評価基準(方法)や用途が、不動産鑑定評価と不動産価格査定の違いです。
ここ近年続いている不況や就職難の対処法として、取得していると就職に有利になるであろう資格で第一に挙げられるものが、宅地建物取引主任者の資格・・・略して「宅建」です。
有利な理由としては、不動産会社のスタッフ5人中1人の割合で、この資格を有している人が必要なため。
こういった必要性もあってか、宅建をはじめとした不動産関係の資格は最近注目されるようになっています。
そんな宅建と不動産鑑定士の資格の関係ですが、内容は異なるとしても同じ不動産に関する資格なのですから、両方とも取得していて得はあっても損はありません。
就職に有利かどうかということになると、両者は土俵が異なってくるためなんとも言えませんが・・・
しかし、上記では例として“内容は異なるとしても”と述べさせていただきましたが、実のところ宅建と不動産鑑定士の内容には似通っている箇所が多いのだそう。
そのため、両方の資格を有している人も決して珍しくありません。
ただ、どちらかを取得するためにもう一方を事前に取得しておく・・・なんて必要はありません。
取得のし易さで言うと宅建の方が容易と考えられますが、宅建は不動産鑑定士に必須の資格というわけではないのです。
不動産鑑定士の資格を持っている人が、必要に応じて宅建の資格を取ることも多いようですね。
実際のところでは、不動産業、あるいは銀行等金融業出身の不動産鑑定士であれば、元の職業柄か宅建を持っている場合が多いようです。
不動産鑑定士の資格は、不動産に関する数々の資格の中でも特に難易度が高いものとして知られています。
合格率も低く、たった一度目の受験で合格するのも稀ですが、それだけに合格できたとあれば努力が報われる思いでしょう。
不動産鑑定士として仕事をしている方々は、これまでに相当の勉強をしてきたことでしょうし、今現在不動産鑑定士になろうと勉強をしている方も、努力の真っ最中にあることでしょうから。
しかし、忘れてはならないのは、資格を取得すればそれで終わりというわけではないことです。
資格の取得は経過に過ぎません。
不動産鑑定士になれたなら、その後は不動産鑑定士として仕事をこなしていく必要があります。
そのため、勉強だってもうしなくて良いというわけではありません。
また、不動産鑑定士の仕事に慣れてくると、次は独立開業をも視野に入れることになるでしょう。
独立も目標のひとつで、ご自分の道を歩むには良い目標だと思います。
しかしこれも資格取得と同じで、独立が最終目標ではありません。
独立開業したなら、その後はご自分で仕事を探すなりしていかなくてはならなくなります。
不動産鑑定士になるまでは決して楽ではないでしょう。
しかし、不動産鑑定士になってからも決して楽とは言えないのです。
それでも、不動産鑑定士という職業にやりがいがあると感じられるのであれば、それこそ天職といえるのでしょう。
不動産鑑定士そのものは、世間から認められる権威ある職業です。
実際に仕事を行ってこそ手に入れられるものもあることは確かです。
実務修習とは不動産鑑定士になるための最後のステップです。
実際に業務を行う経験を経て、やっと不動産鑑定士の資格取得を認められます。
実務なのですからもちろん真似ごとなどではなく、実際の不動産鑑定事務所などで業務に携わらなくてはなりません。
不動産鑑定士の試験を受ける方には様々な立場の人がいらっしゃるでしょう。
不動産鑑定事務所などに勤めていて、そこで働きながら資格試験を受けているのであればそこで実務修習を受けることが可能です。
ですが、もし独学で不動産鑑定士を勉強していたり、異業種からの受験である場合、自分で実務修習の場を探さなくてはなりません。
例えば不動産鑑定協会が近くの鑑定事務所などを紹介してくれると迷わずに済むのですが、残念ながら現実は自分のことは自分で行わなくてはならないことになっているのです。
不動産鑑定協会には実務修習が可能な機関の一覧がありますので、それを利用して探しましょう。
就職活動と同じように履歴書を用い、面接によって採用かどうかが決まります。
ただし、職員として採用されるかはそれぞれの機関によって異なります。
ちなみに実務収集に関する費用ですが、巷では100万円かかるという話もありますが、実際のところは指導を受ける鑑定事務所などによって異なります。
大手だと全額負担してくれたり、個人事務所だと一部負担だったり。
あと大学からの受験や個人事務所の一部だとご自分で全額負担する必要があります。
不動産鑑定士とは、資格試験としてはたいへん難しいものです。
皆さんが抱くイメージ通り、不動産鑑定士の資格試験はその難しさゆえ毎回低い合格率となっています。
不動産鑑定士になるには、どんなに努力しようとも独学では難しく、何らかの方法で専門的に勉強する必要があります。
“何らかの方法”の中には通信講座もあるのですが、やはり多くの人が取る手段は専門学校ですね。
ただ、その専門学校が有る地域が限られているため、近辺に専門学校がない人がとる方法として通信講座が有る、と考えると良いかもしれません。
不動産鑑定士は専門学校へ行って学ぶべきと考え、大学へは行かずに専門学校を選ぶ人もいらっしゃいます。
それが、もし大学を不必要と考えてのことでしたら、それは大きな間違いです。
確かに、不動産鑑定士になるには大卒である必要はありません。
受験資格には大卒は条件に含まれていませんので。
必要な知識をしっかりと蓄えていれば、大卒でなくとも資格試験に合格し、不動産鑑定士になることは可能です。
しかし、不動産鑑定士になった後はどうでしょうか。
今や、多くの企業が採用に際しての最低基準に大卒以上であることを加えています。
これは不動産業界に限ったことではありませんし、また不動産関係の仕事に就くにあたっても重要なことです。
そもそも、不動産鑑定士の試験内容は、鑑定評価理論にはじまり、経済学に会計学、それに民法に行政法規と、社会的な分野であればその全般に及びます。
不動産関係の知識さえ持っていれば良いのではないということはご理解いただけるでしょう。
不動産鑑定士という資格についてお話ししています。
ですが、そもそもなぜ不動産は鑑定する必要があるのでしょうか。
例えば、あらゆる不動産の中でも売買物件は評価によって値段が付けられます。
その値段で売買が成立するとは限りませんが、場合によっては売り手と買い手で交渉が行われますね。
分譲地などもあらかじめすでに値段は付けられています。
それではいけないのでしょうか?
ここまで説明すると、納得するどころか逆に疑問も生じることでしょう。
売買物件や分譲地はそれで良くても、では他の不動産はどうなるのでしょうか。
不動産の全てが売り物として値段が付けられているわけではありません。
売買物件や分譲地だって、売買されるときにだけ付けられている値段です。
売り物でないなら値段を付ける必要が無いかのように思われますが、そうも言ってられない。
税金や相続と、不動産をただ所有するだけでも明確な価格を知らなければならないときだってあるのです。
売買のときと相続のときを比べてみましょう。
売買の場合は、売り手と買い手の意見さえ一致すればどんな値段でも付けられます。
買い手がいくら積んでも欲しいと思えば高価になりますし、売り手が安くて良いから売り払いたいと思えば安価にもなります。
しかし、相続のときにそんなことをしてしまうと、後々の争いを生みだしかねませんね。
もっと判り易い例を挙げると、用地買収などのとき。
公共施設のために土地が欲しいと申し出られれば、所有者にとって特に用の無い不動産だとしてもここぞとばかりに高値で売りたくもなるでしょう。
しかし、国や市町村が不動産を買うお金は税金から出ているので、無駄遣いしないよう適正な価格で買わなければならないのです。
そんな相続のとき、税金がらみのときに不動産を適正に鑑定するのが、不動産鑑定士というわけです。
不動産鑑定士による鑑定の際、そこに売り手や買い手の思惑は入り込みません。
鑑定要素となるのは、不動産の利用価値や経済実態といった、客観的かつ社会的データです。
つまり、不動産鑑定士による鑑定結果こそが、不動産の最も純粋な価値を再現しているといえるでしょう。
不動産鑑定士になるためには不動産鑑定士試験を受けて合格しなくてはなりませんが、不動産鑑定士試験は数ある国家試験の中でも大変難易度が高いものです。
不動産鑑定士の合格率は、2006年の試験の場合、なんと2パーセントという低さでした。
前回、不動産鑑定士のように独占業務を担っている職業の例として弁護士と公認会計士を挙げましたが、そういえば司法試験と公認会計士試験は「三大国家試験」のひとつ。
残りのひとつが不動産会計士です。
・・・なるほど難易度が高いはずですね。
(三大国家試験と呼ばれているのも、それらの難易度がそれほど高いためでもありますが)
不動産鑑定士試験はかつては3次式となっていましたが、2006年からは新制度導入されて2段階選抜の形式となっています。
不動産鑑定士試験の流れをまとめると以下のとおり。
①短答式試験と論文式試験を合格
↓
②実務修習(期間:12月1日から11月30日までの1年間)
・講義
・基本演習
・実地演習
↓
③修了考査に合格
・小論文
・実地演習の事案に対する口頭試問
↓
④確認手続き
↓
⑤不動産鑑定士として登録
以上のように実務修習だけでも1年かかるので、全て含めると不動産鑑定士として登録されるまでに約1年半ほどかかると考えると良いでしょう。
もちろん、それ以外に個人での勉強時間も必要ですし、受験期間も考慮しなくてはなりません。
また、難易度が高い試験だけに、1度目の試験で合格するなんて運の良いことも考えられませんね。
そのため、正式に不動産鑑定士となるまでには何年もの月日をかけなければならない、一朝一夕ではなれない職業であるといえます。
不動産鑑定士の主な業務のひとつが、鑑定評価業務です。
不動産の鑑定評価とは不動産の経済的価値を判定することで、地価といっても、区分地上権価格、借地権価格、借家権価格などをニーズに合わせて判定します。
もちろん判定するだけでなく、不動産鑑定評価書に判定結果をまとめ、依頼者へ発行するまでの全てがこの業務に含まれています。
【鑑定評価の流れ】
①鑑定依頼を受けて打ち合わせをする
②処理計画の策定
③調査準備~現地調査
④鑑定評価
⑤内報
⑥付属書類を作成し、署名・押印
⑦書類を提出
⑧事後整理
【公的評価】
・地価調査
・地価公示
・固定資産税標準地評価
・相続税路線価の評価
・競売物権の評価
など
(依頼主:国、都道府県、市町村、裁判所など)
【民間評価】
・相続財産の評価
・借地・借家関係の紛争
・資料決定
・不動産の売買・交換・贈与
・不動産の担保評価
・企業の資産評価
など
(依頼主:企業、個人など)
以上の不動産鑑定業務が不動産鑑定士にのみ許されている専門業ということは以前にもご説明しました。
これを独占業務と呼ぶのですが、独占業務といえば弁護士の法律相談もそうですし、公認会計士の監査もそうです。
それらと同じように不動産鑑定を独占業務として行える不動産鑑定士は、たいへん名誉ある職業と考えることができるでしょう。
特に、上記の業務のうちの公的評価ともなると、地価調査、地価公示、固定資産税標準地評価など多くの業務で社会への貢献度を上げています。
不動産鑑定士とは、職業でもあり資格でもあります。
というか、資格を持っていなくてはなれない職業です。
不動産鑑定士になるためには、不動産に関する勉強をして難関試験に挑まなくてはなりませんし、合格して資格を取得してからも常に怠ることなく勉強を続けなくてはなりません。
道は険しく休まることの無さそうな不動産鑑定士ですが、それだけにやりがいのある仕事でもあります。
不動産鑑定士という資格は社会的にもニーズが非常に高く、活躍の場はたくさんあります。
苦労すればしただけの価値が与えられる資格と言えるでしょう。
近年では特に不動産鑑定士の活躍が増えてきましたね。
他業界では景気が悪く切迫しているというのに・・・いや、むしろ景気が悪いことも手伝ってか、不動産の鑑定依頼がどんどん増加してきています。
不動産鑑定士への依頼によくあるのが次のような内容。
○地価の調査と公示
○相続税標準値などの評価
○相続などの訴訟案件のための評価
○参考資料とするための不動産売買用価格評価
○賃料改定のための評価
○公共用地買収などのための資産評価
○企業会計のための資産評価
○会社更生・破産などのための資産評価
○担保物件の評価
○競売物件の公的評価
・・・と、以上のように公的なものばかりでなく民間からの依頼も尽きることがありません。
上に書き連ねたのは全て不動産の鑑定に類する内容ですが、不動産鑑定士の仕事はこういった鑑定評価業務以外にもあります。
例えば「デューデリジェンス」という物件精査業務に、コンサルティング。
それから、街づくりや土地開発においても不動産鑑定士は欠かせません。
つい先日、地元の土地が不動産鑑定士によって鑑定され地価が判明した、というニュースを目にしました。
私の場合たまたま不動産鑑定士について調べているところでしたので、なるほど~と訳知り顔でそのニュースを見ていられたのですが、不動産鑑定士というものを知らない方にとってはどうなのでしょうね。
不動産鑑定士なんて、不動産について詳しかったり仕事で関わったりでもしなければ、なかなか耳にする仕事ではないだろうと思います。
とはいえ、上のニュースの内容からある程度予想することは可能でしょうが・・・
不動産鑑定士は「不動産」に関する仕事ですが、我々が参入する土地取引ではあまり表に出て関わることはありません。
不動産鑑定士の仕事は、ニュースにあるとおり不動産を鑑定して地価を決定づけることや、また不動産に関するコンサルティングなどです。
ですが、不動産の地価を決定づける権利を持っているのは不動産鑑定士のみであるため、非常に重要な仕事でもあります。
不動産の鑑定は、地域の環境を始めとした様々な情報を考慮して行われます。
情報の中には、対象の不動産の過去の傾向もあれば、その周囲の状況もあり、また固定資産評価だとか相続評価だとか裁判に関係した評価なども含まれます。
その他にも民間評価というものがあって、会社設立に際した評価や税務上の情報や訴訟や担保や・・・と挙げだすとキリがありません。
これらのように非常に多くの専門的知識を総動員させて不動産を鑑定しなくてはならないため、不動産鑑定士は相当高度な知識が必要な仕事と言えるでしょう。